2021年2月19日のマクタン島&東京情報

img-2021-02-19-01-0007mod マクタンニュース

今日のトピック

 今日は、昨日に引き続き、減圧理論のなるべくやさしい解説の第2回目です。
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今回のアイキャッチ画像のオリジナル写真

台風1号の影響が出始めているマクタンです。

スキューバ・ダイビングの話し

減圧モデル・ハーフタイム・コンパートメントの話し

 今回は、前回に続いて、減圧モデルの説明を進めていきたいと思います。今回は、ハーフタイム・コンパートメントという考え方について、なるべく簡単にわかるように、極力いらない話は削り落として、話の核心だけ詳しく説明していきたいと思います。
 前回の説明を読んでいない方は、以下のリンクからまず前提となる基礎知識を読んでから本編を読んでください。

まずは「組織コンパートメント」のはなし

人間の体内には、窒素を取り込むのが早い組織(血液や脳など)と、取り込むのが遅い組織(骨や脂肪など)が混在しています。

ですので、前回大雑把に説明したような、人間という大きな器が1つあって、そこに窒素が一斉に出たり入ったりしているわけではなく、人間の体内には、窒素の吸排出のスピードが異なるいくつもの器(コンパートメント)があって、
そこに窒素が出たり入ったりしているわけです。

血液や脳などは、「窒素の吸排出が早い器(コンパートメント)」で、骨や脂肪などは「窒素の吸排出が遅い器(コンパートメント)」と、いうことになります。

減圧モデルでは、人間の血液がどれくらい窒素を吸排出するのか、とか、脳髄や筋肉がどれくらいの窒素を吸排出するのかという感じで、実際の人間の臓器それぞれの窒素の吸排出の状況を調べたりはしません

なぜなら、もしもそんな事をすると、ダイブコンピュータは、
あなたの筋肉の大きさや脳髄の大きさや血液の正確な量を知らなければ、窒素の吸排出の計算ができないことになってしまい、あなただけしか使えないダイブ・コンピュータになってしまうからです。

イギリスのJohn S.Haldane(ホールデン)という人は、
窒素を早く吸排出する器(コンパートメント)と、遅く吸排出する器(コンパートメント)
というところにスポットを当てて、
早いコンパートメント、遅いコンパートメントという器のバリエーションをいくつか複数作ることで、
一般的な人間の窒素の吸排出の動作を追跡できないかと考えたわけです。
臓器に模した窒素を吸ったり吐いたりする仮想の器(うつわ)「コンパートメント」なので、
これを「組織コンパートメント」と名付けました。


このおじさん、頭いいすね(汗)。

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ジョン・スコット・ホールデン
John Scott Haldane
1860年5月2日 – 1936年3月15日

ハーフタイム・コンパートメント

ハーフタイム・コンパートメントとは、ある組織コンパートメントに窒素が半分まで貯まるのにかかる時間で名前をつけたものです。

たとえば、5分で半分貯まる組織コンパートメントのことを、
5分ハーフタイム・コンパートメント」と言います、

そして、血液や脳などの窒素の吸排出が早い組織コンパートメントなどが,実際に何分のハーフタイム・コンパートメントに相当するかということは、あまり重要ではないことに注意してください。

これは、体内のいろいろな組織が窒素を吸排出する動作をモデル化することが最大の目的だからです。

そのためにこような考え方は「減圧モデル」と呼ばれています。

ハーフタイム・コンパートメントの挙動

例えば、5分のハーフタイム・コンポーネントを例にとって考えます。

ホールデンおじさんは、5分のハーフタイムコンポーネントとは、深度下で窒素が溜まっていくときに、以下のような貯まり方をするとしました。

  1. 1回目:深度下への潜降開始から5分後
    組織コンパートメントの半分(50%)に窒素が貯まる
    ⇒ 残りは50%
  2. 2回目:次の5分(合計10分経過)
    残っていたコンパートメントの空きの更に半分(25%)に窒素がたまり、全体として75%の窒素がたまる。
    ⇒ 残りは25%
  3. 3回目:次の5分(合計15分経過)
    残っていたコンパートメントの空きの更に半分(12.5%)に窒素がたまり、全体として87.5%の窒素がたまる。
    ⇒ 残りは12.5%
  4. 4回目:次の5分(合計20分経過)
    残っていたコンパートメントの空きの更に半分(6.25%)に窒素がたまり、全体として93.75%の窒素がたまる。
    ⇒ 残りは3.125%
  5. 5回目:次の5分(合計30分経過)
    残っていたコンパートメントの空きの更に半分(1.56%)に窒素がたまり、全体として98.44%の窒素がたまる

    5分ハーフタイム・コンポーネントに限らず、どの長さのコンパートメントでもこのように6回の吸収を繰り返すと、98.44%まで窒素が貯まるので、これで窒素が100%溜まった(飽和した)とみなすこととしました。

上記の文章での説明を、可視化したものが下のグラフです。
一番左の空の状態から6回の充填でコンパートメントがいっぱいになる様子がわかると思います。

graph-1

米海軍が作った減圧モデル

初期の米海軍が作ったテーブルでは、5分、10分、20分、40分、80分、120分の6このハーフタイム・コンパートメントを使うようになっていました。
ですので、次のような表ができあがります。

half time

この上の表によれば、一番早いコンパートメントの「5分ハーフタイム・コンパートメント」では、30分、一番遅い「120分ハーフタイム・コンパートメント」は、720分で100%になる(飽和する)ことになりますね。

ちなみにPADIのRDPテーブルは14個のハーフタイムコンパートメントを想定して作られていますが、最近のダイブコンピュータはもっと多いコンパートメントで計算をしていたりします。

ホールデンさんは、こうして出来あがったハーフタイム・コンパートメントたちの挙動の1つ1つをトレースすることで、一般的な人間がある深度で体内に窒素を吸排出した結果として、体内に溜まっていく窒素の分圧を時系列にシミュレーションできると考えたわけです。

やっぱりこのおじさんは頭が良いです

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ジョン・スコット・ホールデン
John Scott Haldane
1860年5月2日 – 1936年3月15日

今回のまとめ

 天才のホールデンおじさんは、人間の体の中に入った窒素の量を推測するために、ヒトの臓器のことを直接考えるのではなく、組織コンパートメントという抽象的なモデルを導入した。

 そして、この組織コンパートメントには窒素の吸排出が早い組織と遅い組織があると考えて、ハーフタイム・コンパートメントという減圧モデルを編み出し、一般的なヒトがどれくらいの深さに何分くらい潜ると、体内にどれくらいの窒素が溜まっていくのかを推測できる方法を見つけ出した。

 天才的なジョン・スコット・ホールデンおじさんに敬意を表しながら、
 今日はこのへんで終わろうと思います。

 明日は、ついに減圧理論の核心の「M値」の説明です。

今日のねこ

小首をかしげるイリンさん。かわいい。

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今日のMEME

ネコ仙人「帰りなさい、ここは人間の来るところではない。」

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そのころ東京では

健康診断再検査

健康診断でいろいろ数値が悪く、再検査に。
何を言われるのかと、びくびくしながら病院へ行くと、先生から、
「薬もいらん、なんもせんでええから、とりあえず痩せろ!
とのおことば・・・(泣)
しょうがないので・・・すこし運動するか・・・。
あ、でも、これで既往症ありに分類されるので、
ワクチン接種は早まります(笑)

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